指圧周辺    No.002
2001年10月
指圧師 木 村  浩


指圧の効果

 指圧は単純にいえば物理療法です。大まかには、筋肉、関節、血管、神経に働きかける

療法です。疲労した筋肉を柔軟に、硬直した関節に柔軟性とアソビをもたせ、血液の正常

な流れをうながし、神経系に抑制と亢進のバランスをとりもどす、まさに「全体」に働き

かけるものです。少しだけ部分的にいえば、

※ 筋肉: たとえば「肩凝り」は万病のもとです。脳へ行く血管、神経はすべて肩から首の

狭いエリアに集中しています。ここの筋肉疲労はこれらすべてを圧迫し、様々な問題を引

き起こします、「肩凝りは万病のもと」なのです。

※ 関節: たとえば肩関節は人体で最も可動域が大きい関節です。しかし実際の生活では

その半分程度の動作しか使用されません。使用されない機能は衰え、やがて障害を招くこ

とになります。

※ 血管: 循環系が正常に働くことはその人の本来もっている免疫機能(自然治癒力)を

発揮させ、健康の維持と身体が正常に戻ろうとする力を最大限に発揮するのです。

※神経: 深いリラックスが消化器系を活動させ、心拍を減少させ、副交感神経を優位に

します。(現代を生きる人々の生活は日々緊張状態にあり、必用以上に交感神経が優位に

ある人が大半です)


クセになる?

 指圧を受けたいと感じるときは、体が疲れている、という証拠です。(疲労をきちんと

感じる事が重要で、疲れを感じることなく働き続ける身体を望んでいる人がたくさんいま

すが問題です)時々「癖になったりしないか?」という質問を受けますが、指圧には副作

用や、もちろん薬物依存のような危険性はなにもありません。あくまで自分自身で良いと

感じればなんの問題もありません。疲労を回復し、あるいは疲労をきちんと自覚できる、

正常な身体の方向へと導く大きな力となります。


ふれることの意味

 指圧は「触れる」行為です。痛みを訴える人に対して、その痛みをやわらげてあげたい、

という気持の現われとしてまず最初に「手当て」という行為がありました。

子供がケガをしたらバンソウコ、お腹が痛くなったらクスリ、そしてお医者さんへ・・・

医学の急速な進歩の中でそのパターンしか思い浮かべることのできない現代人、その前に

できることがあります。じっと手を当てる・・・すこし前までは無意識に行われてきたそ

の行為が忘れ去られてしまいました。そのことは科学、医学が発展していくほどに、ます

ます遠く忘れ去られてしまうことになるでしょう。指圧を通して「手当て」の意味を伝えて

いくことは私の役割の一つと考えています。

 指圧という技術の本質は決して専門家のためだけにあるのではありません。いずれすこ

しずつお話ししていきたいと思います。


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