別れを重ねて人は、 





お世話になった方が亡くなり、お通夜に行ってきた。

その方は沖縄に生まれて、18で東京にでてきてからは看護婦さんとして働き、結婚して子供を育

てた。

沖縄の事をいろいろと話してもらった。沖縄の食べ物、海のきれいなこと、基地のこと。

自分のつまらない愚痴を聞いてもらったこともある。

編物が好きで、ベッドでよく編物をしていた。

柩の中にはいくつかの毛糸玉も納められていた。

泣きむしの自分は泣くのをこらえた。

遺影の前で息子さんと少し話しをした。


川沿いにある斎場を出て、夕暮れの川に沿って駅までの土手を歩いた。


気のせいだろうか、またひとつ別れを重ねて、また少しだけ成長したような気がした。

そうでなければ、別れになんの意味があるのだろうか

そうでなければ、先に逝った人に申し訳がないのではないか

そうでなければ、ただ無為に人生を過ごしてしまうのではないか

そんな事を思って川を見ながら歩いた。




     

     公園の紫陽花  もう6月、一年の半分が過ぎた


                                                                    2017年 6月




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