なんで男は今を愛せないのかねぇ
〜追悼 樹木希林さん (2018年9月 逝去)〜
今年9月に亡くなった圧倒的存在感の女優、樹木希林さんは是枝作品の常連だった。
そのうちの一本で、『海よりもまだ深く』(2016年 )を観た。
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
出演者:阿部寛、真木よう子、小林聡美
リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽
橋爪功、樹木希林
■あらすじ
過去の栄光を引きずっている売れない小説家(阿部寛)は、生活力のなさに見切りをつけ
られて離婚されたのだが、別れた女房(真木よう子)をいつまでも追いかけ、なかなか会
うことができない小学生の息子のことが愛おしくて仕方がないダメオヤジ。自身の生活は
もとより養育費も満足に払えないで母親(樹木希林)の年金さえも当てにする情けない男
なのだが憎めない。
母親は、嘆きつつもやはり息子が心配で仕方ない。
別れた女房は気持ちの片隅で別れた夫に心を残しているのだが生活と教育の事もあり経済
力のある別の男と新しい生活を始めようとしている。
また、小学生の息子は新しい父親になりそうな男のことは好きになれないのだが、現実的
には母親についていかざるを得ないことを知っている。生活力が無いことは知っているの
だが、実の父親を嫌いにはなれないでいる・・・
そんな家族の物語。
■以下は映画の予告PV ↓(環境によっては表示できないかもしれません)
■後半の印象深いところ ↓
母親(樹木希林)がつぶやく。
「・・・なんで男は今を愛せないのかねぇ、いつまても失くしたもの追いかけたり、叶わ
ない夢みたり、そんな事してたら毎日楽しくないでしょう?シアワセってのは何かをあき
らめないと手にできないものなのよ・・・アタシは海よりも深く人を好きになったことな
んてこの歳になるまでないけどさぁ・・・無いわよ、普通の人は・・・それでも楽しく毎
日生きているのよ・・・でも無いから生きていけんのよ・・・こんな毎日をそれでも楽し
くね。人生なんて単純よ・・・」
またダメオヤジと息子との会話
ダメオヤジ:「慎吾(息子の名)は何になりたいんだ」
息子:「公務員」
ダメオヤジ:「なんだ、野球選手じゃなかったのか?」
息子:「なれないよそんなもん」
ダメオヤジ:「やってみなきゃわかんないじゃないか」
息子:「わかってるよ、そんなこと」
息子:「パパは何になりたかったの?・・・なりたいものになれた?」
ダメオヤジ:「・・・パパはまだなれてない、でもな・・・なれたかどうかは問題じゃな
いんだ・・・大切なのはそういう気持ちを持って生きているかどうかってことなんだ
・・・」
息子:「ほんと?」
ダメオヤジ:「・・・ホントだよ・・・ホントさ・・・」
■映画はフィクション、けれども。
情けないオトコ、一見生きるのにタフなオンナ、その間で揺れる少年、切なくて、ハッピ
ーエンドなんてない?
でもそれが人生?
映画はフィクション、けれども現実にも様々な人生には、同じものはひとつとしてない、
オンリーワンの物語。
いつも書いているが、灰谷健次郎さんの詩。
〜あなたの知らないところに
あなたの知らないところに
いろいろな人生がある
あなたの人生が
かけがえのないように
あなたの知らない人生も
またかけがえがない
人を愛するということは
知らない人生を知るということだ
灰谷健次郎 〜
それにしても、樹木希林さんのセリフが自分の気持ちに引っかかる。
「なんで男は今を愛せないのかねぇ」
確かにそんな気もする・・・
比べて、オンナはいつも地に足つけているように見えるのは気のせいか(-_-;)
母親役の樹木希林さんに亡くなったお袋を重ねて見て、
切ない気持ちになっちまった。
2018年 10月
地域の祭りのお手伝いをした。
共同体への帰属意識はほとんど持たないで生きてきた(多分これからも)。
でも子供たちの笑顔を見て、こういう活動は立派なことだと思った次第。
子供たちが山車を引くのに車道を通るので安全に気を配ったのだが、
カンカン照りの32度!暑くてへろへろ -_-;) でもヨカッタ(^^)