生きかたにふさわしい体になる
2007年  11月
指圧師 木 村  浩



 少し前に新潟大学の免疫学者の阿呆(アボ)徹先生がラジオで語っていた話です。

その話というのは、「体は生きかたに応じた体になる」という話です。それは、

ムリをすればムリに応じる体になる。

ラクをすればラクに応じる体になる。

という話です。それはまあそうだろう。と思うのは、体をそれ程使わない事務職から

肉体労働の運送業に転職した自分の筋肉にあきらかな変化が起きたのを実感した経験

からですが、免疫学は単に外見の変化についてだけではなく、体の内部で起きる変化

について説明してくれます。

要約すれば次のようなことで、

・ムリは交換神経優位の状態である。これはつまり緊張状態である。

・ラクは副交換神経優位の状態である。これはつまりリラックス状態である。

生きていくには、交感神経を働かせて体を使って仕事をし、仕事で疲れた体を、今度

は副交感神経を働かせて休ませる。という体のリズムが正常に機能することが必要で

す。しかし、

・交換神経の働きが行き過ぎると血管を収縮させて血液の流れが悪くなる。

・副交換神経の働きが行き過ぎると心拍は低下して血液の流れは停滞する。

・従って、ムリが過ぎても、ラクが過ぎても血液の流れは悪くなる。

つまり、忙し過ぎると血流は悪くなり免疫機能は低下して病気になる、ヒマが過ぎれ

ば筋肉は衰えて脳には血液が行かなくなりボケてしまう。

これが「体は生きかたに応じた体になる」ということの免疫学の説明です。

 ムリも必要、ラクも必要、そのバランスで健康に生きていくことができるのだ。と

いうことは人々が昔からうすうすは気がついていたことで、科学がそのことを裏付け

た格好になりました。




極意は手に入れたけれども

 その昔、貝原益件は、健康で長生きしたくば欲を抑えよ。という極意を教えてくれ

ました。(益軒自身は若い頃は女遊びに随分ウツツをぬかしたそうで、そこらへんに

魅力を覚えるのですが)また最先端の免疫学は、病気にならず、ボケることなく生き

るには、ムリせず、ラクせず生きよ、という極意を教えてくれています。

しかし、思うにまかせぬのが人生です。欲を抑え、ムリをし過ぎない、ラクをし過ぎ

ない、それらの極意をせっかく伝授されても、そんなふうに生きていくのは容易なこ

とではないように思えるのです。



 益軒も最先端の免疫学も「健康は生きかた次第」と教えてくれました。

うーむ、自分の生きかたは「体にイイ」生き方になっているのだろうか・・・






  授かった極意を実践、実行するための極意はどこに?   2007年 11月




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