国語 〜灰色の現実世界を生きるために〜 1/2  



  ブックオフにはよく行く。いつもチェックするのは、jazzのCDと100円の文庫本の棚で、

jazzのCDの品揃えは本当に少ないが、文庫本のほうは作家別に整理されていて充実しているし、

ほとんどの本はとても良い状態にある。

先日は老人ホームで本の話で友達(と言っては失礼、大先輩)になった本好きな車椅子の御老

人にせがまれて、ブックオフへ案内して大変に喜ばれた。平日の開店直後であれば店内は空い

ており、車椅子でも割合にゆっくり見る事が出来る。100円の文庫本の時代小説を12冊も買わ

れていた。

それはともかく、新刊の本屋はたまに冷やかしに行くくらいで、自分のような貧乏人にはブッ

クオフはありがたく、お気に入りである。

 

  お気に入りのBookOFF 北朝霞店 カワイイおねえちゃんがいる^_^


 今回は、少し前にブックオフで手に入れたやっぱり100円の文庫本で、数学者の藤原正彦さ

んの書いた「祖国とは国語」(新潮文庫 )の話。

以前随分評判になった「国家の品格」は読んでいないが、数学の研究者にとどまらず、社会批

評の面でも様々な提言をしている方なのだと知った。


 人は生まれた時代や受けた教育によって影響を受けるけれども、それ以前に、生まれ育った

自然や使う言語による影響の方が、物事の捉え方や思考パターンへの影響は強いのではない

か?という疑問を以前からもっている。そんなわけで100円の棚に整列している背表紙の中で

「祖国とは国語」というタイトルにスポットライトがあたった。



  言葉への興味から、複数の言葉を自在に操る方に出会うと必ず次のような質問をしてしまう。

「物事を考える時に、何語で考えるか?」

さらに、

「考える言葉によって、たどり着く結論に違いがでるか?」

複数の言語を自在に操る方に出会うといつもこの質問をしている。

先日出会った方(英語圏に在住の日本人)は、「考えたことはないが、怒りを表現するときは

自然に英語になっているような気がする」という興味深い事を語ってくれた。

もうひとつ面白いエピソードを思い出した。父親が外交官だったために子供の頃に様々な国で

暮らした二人の姉妹が電話で話しているのを聞いた事がある。日本語とフランス語と英語が入

り乱れていたのには驚いた。話題や気分感情によってスイッチが切り替わるようだった。

ひとつの言葉しか知らない自分には到底想像もつかない感覚なのだろう。



  

 北朝霞駅ホームから 久しぶりの青空!



 母国語は日本語だが。たった一つの言語さえ、自在に使いこなしているようで実は過不足な

く適切に日々使いこなせているだろうか。



前振りが長くなってしまった「祖国とは国語」の紹介は次回に
                                                              2015年8月



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